リフォームの打ち合わせに伺うと、商品選びや色決めの際など、「プロにおまかせするわ」と言ってくださる方が多いのですが、私は「その家にとってのリフォームのプロ」はお客様ご自身だと思います。

確かにプロとしての、素材選び・寸法出し、レイアウトやカラーコーディネイトなどは提供させていただけるのですが、例えばいたれりつくせりに設計・デザインされたホテルの一室であっても生活するとなるとまた違う…というように、家というものは、お客様の暮らし方や好みに合ってこそ、「良い家」だと言えると思うのです。

私が、(職人の手伝いとして)たまたま伺ったお宅でも、室内の枠周りを塗るのに、業者さんに色を決めてもらったといって、「おかしくない?」「どう思う?」としきりに聞いてこられる奥様がありました。

「きっと、この方気に入ってないんだろうな」と思いつつ、あらためて見まわしてみると、建具に色を合わせてあるらしく、もっと別の色の方が落ち着きがでるだろうな、と感じました。

下請けで入っている職人は、基本的にはお客様に施工内容について、口出しや提案はできません。
(ばんばん自分の意見を言ってしまう職人さんもいるようですが…笑)
職人が「もっとこうすればよいのに」と思っても、元請けさんの予算や経験上あえて選んでいるやり方・材料かもしれませんし、なにより、職人が勝手なことを言って、工事の変更につながり、費用が発生した場合、責任がとれないからです。

その時も、「おかしくないですよ。建具に合わせたのですね」としか、コメントできませんでした。

元請けさんが、いくら経験豊富な方でも、その家に住んでみなければわからないこと、その方になってみなければ(性別や年齢など)、
わからないことが多々あると思います。また、同様に、職人さんも施工技術ではプロですが、家事や収納・動線からみた使い勝手などに関しては必ずしもプロではありません。

お客様にはぜひ、「この家のことを一番知っているのは私」と、もっと前に出ていただき、ただ必要な専門知識は業者さんのプランナーや職人さんから借りる、というつもりで、積極的にリフォームに参加していただきたいと思います。

(こういってはなんですが、自分で選んだモノなら少々失敗しても
気にならないものですが、人が選んだモノは、
あとあとまで気になったりするものですしね。)