リフォームで見積もりを頼むときに、よく「相見積もり」(「あいみつ」とも )をとるとよいと言われています。
つまり、一社だけではなく、複数の業者から見積もりをもらうほうが望ましいということです。そうすれば、工事の値段、業者の経験や提案力、お客様の要望を聞く姿勢、その他いろいろな判断材料が比較できるからなのです。

しかし、リフォームという仕事の特殊性からいって、何社にも声をかけて金額だけを比べることはあまり意味がありません。

例えば、「和室を子供部屋にするために洋室にしたい」という要望に、

業者Aは「遊び盛りのあいだは、傷の付くフローリングよりカーペットにしておきましょう」
「押入はクロゼットドアに変えましょう」とか、
「柱が多いので白く塗ると部屋が明るくなりますよ」という提案をしたとします。

いっぽう、業者Bは「子供さんのためにキズにつよいフローリングを選びましょう」
「押入のふすまの変わりに木目の建具をいれましょう」
「柱はそのままでも天井はクロスに変えたほうがいいですよ」
と勧めてきたとします。

そうすると、工事範囲もちがう、商品もちがう、見かけ上の仕上がりもちがう、ということで、それぞれの見積もりをみても安いか高いかはわからない、ということになります。

あらかじめお客様が工事内容を具体的に詰めておくか、建築のコンペティションのように「プラン内容・提案力で選ぶ」などと、割り切って業者さんにそのことを伝えておくのもよいかもしれません。(その上で金額を詰めていく)

徹底的に値段で比べたいと言う場合は、商品も工事範囲も同じ条件で、また、見積書の書き方もできれば統一してもらってこそ可能です。
(見積書のひながたも業者によってはちがいますので)

また、相見積もりで「予算がない」を強調されると、「余計な提案をして金額が上がると仕事をもらえないから」、といって、どの業者もあたりさわりのない見積もりしかしない可能性が…というリスクもありますから、あまり値下げのプレッシャーをかけない方が、結果的には「お得な工事」につながると思います。

リフォームという仕事に思い入れのある業者さん、プランナーや職人さんの場合は、一度工事を頼まれると、少しでもその予算内で、よりよい結果をだして、お客様に喜んでもらいたいと思うものです。しかし、なかには同業者も呆れるような「悪徳業者」がいますので、くれぐれもご注意を。